ロンドンオリンピック閉会式について

 閉会式に年寄りのロックスターがたくさん出ていたと聞いて、「オリンピック 閉会式」でぐぐってみた。そしたら「オリンピック閉会式のNHK解説に批判殺到」みたいな記事が上にだーーっといっぱい出てきた。アーティストの演奏中にアナウンサーと解説者が無駄話をしまくり、演奏が満足に聞けなかったらしい。

 アテネオリンピックの開会式の時、ビョークヨーヨー・マの演奏中にアナウンサーがいらん話をべちゃくちゃしまくり、演奏を静かに聞けなくてテレビに向かって激怒しまくったことがある。「黙れ!」と何度机を叩いて叫んだかわからない。すぐさまNHKのサイトから苦情を送った。もちろんそんな意見が受け入れられるわけもないので今回のことも起こってるわけだけど、当時は、こんなことでイラついてNHKに苦情送るのは私くらいのもんなのか、日本人は音楽聞くのを邪魔されても嫌だと思わないのかなあ…などと思ったもんだった。今回のは大御所がたくさん出ていたのでそれを目当てに見ていた人が多かったことと、何といってもTwitterの存在が大きいということだろう。

 gorin.jpで閉会式の抜粋を見ることができた。もちろん無駄話つきだけど。次々におじじ達が出てくる。ジョージ・マイケル、ペットショップボーイズ、WHO、スペシャルズ、オアシスの人(違うバンドやってる)、クイーン、キンクス…。キンクスにフーって一体どこまで古いん。マイ・ジェネレーションやってるよ…。確かに見る方も年寄りならある程度楽しめる、というか笑えるけれど、何だか変な感じ。なんちゅうかなあ…新しさがない。バカなアナウンサーが「ベテランから若い人まで」とか言っていたが、実際は年寄りがほとんど。MUSEとかFat Boy Slimでずいぶん若いほうに見えた感じ。

 その中で良かったのがアニー・レノックスだった。これだけは(笑わずに)普通に鑑賞できた。でっかい船の穂先に乗ったパフォーマンスもかっこよかった。何より、(他の人に比べて)あまり年をとっていない。美しい。ところがNHKの閉会式再放送ではアニー・レノックスの部分はカットされていたというから、いかにNHKが趣味が悪いかがよくわかる。

 というか、この閉会式(開会式も)じたいが、いまいち趣味がよくない感じがした。全体に「イギリス」のゴリ押し、それも誰もが知っているようなベタで陳腐なイギリスのアピール。勝手なイメージだけど、イギリス人ってもっとひねくれ者で一筋縄でいかない感じじゃなかったかなあ。こういうパフォーマンスって、当のイギリス人は嫌がってる人が実は多かったりして。

 ストーンズは出演を断ったらしい。えらい。と思ったが、お年寄りだし健康問題だったりして、と思うとトホホだ。Zepも断ったらしいが、こちらは前回の閉会式にロンドン代表として出ていた。マッカートニーは開会式でヘイ・ジュードの大合唱をしたらしく、輪をかけてベタ。

 ジョージ・マイケルはたしか昔ハッテン場でなんかしてたところを逮捕されたりしてなかったか。Mr.ビーンもたしかなんかなかったっけ? すっかり大丈夫なんだなあ、と妙な部分で安心したりした。どうせならボーイ・ジョージも出てきたら面白かったのに。

 アテネオリンピックの開会式・閉会式ではアテネ色もギリシャ色も強くは出していなかったように思う。出演していたアーティストも国籍はいろいろだったし、今回みたいにナツメロは演奏してなかった。おそらく最も「オリンピックはギリシャ!」とゴリ押ししてもいい立場でありながら、グローバルでアート色が強く、「これからのオリンピック」を感じさせるショーだったと記憶している(あんまりしっかり見てないので印象だけど)。今回のロンドンの見てると、何だか逆にイギリスの文化的衰退を感じる気がする。その後のギリシャの経済的衰退と比べるとましなのかもしれないけれど。

 そういや韓国もオリンピックのあと経済破綻してIMF管理に入ってた。オリンピック、経済には良くないのかも?