遺伝子のシンクロ?

 今回Mさんと久し振りに会った時に、あれっと思ったことがある。もしかして、顔つきが少し私に似てる?と。西太后も私の顔を見て、Mと口元が似てる、と言っていた。前は似てるとは思わなかったのに、歳をとって顔の肉が落ちて、骨格がわかりやすくなったのかもしれない。Mさんにそのことを言うと、「そうかなあ、私はTAMAはお父さんに似てると思う」と言っていた。私は顔つきは父と母両方の悪い部分を引き継いでいるので、まあそう思われるのも仕方ないかなと思った(因みにGは母方の美人遺伝子を受け継いでいて、私とは全く共通点のない別系統の顔。妹が不美人だったことも、下手にGの自尊心を高めて妹を見下す要因のひとつになったのかもしれない)。まあ、私と似ていると言われたのが嫌だっただけかもしれないが。

 いろいろ話していると、Mさんとは顔だけではなく、いろんな部分が少しずつ似てる、と思うようになった。多分少しアスペルガーの傾向があること。何かと過敏な体質、内向性で悩みの多い性格、体の弱さ(もちろんMさんの方がずっと苦労してて大変そうなのだが)、音楽が好きなこと、世間知が少し欠けているところ、等など。食べ物に関しては特に敏感でかなり気を使っているのも同じだった。干支まで同じ(ひと回り違うけど)。

 そのあとMさんの妹に会って、またあれっと思った。どうも誰かと似ている。丸顔の顔つき、表情、喋り方(話す内容も)、雰囲気、小太りな体型。以前会った時には思わなかったのだが、これも歳をとって地金が出てきたのか、Gに似ているのだった。ジャイアンのようにのしのしと歩く歩き方までそっくりで、向こうから歩いてくるのをふっと見た時、まるでGが歩いてくるのを見たようでゾッとした。体質も、この人はMさんとは違って随分頑強そうだ。そして単純で悩みが少なそう。Mさんが芸術の才能があるが世間知が少ないようなのに対して、芸術的センスはなさそうだが世間的常識にすごく長けているようで、チャキチャキと仕切っていた。Mさんは、妹の前では身動きもできない(コムチャクトモッテヨ)、と笑っていた。繊細な部分がなく、外向的でグイグイ、グイグイくる押しが強いタイプ。

 あくまで私が見た範囲でだけど、Mさんはストレスが多そうなタイプなのに、妹は少なそう(余計なことは考えないから)。Mさんは少し浮世離れしてるのに、妹は通俗的にしっかりしている。Mさんは独身で妹は家庭持ち。状況的にも、独り身で自由の効くMさんが最も親の介護を受け持っている。親の家まで1~2時間の距離を通っている。

 姉と妹が逆だけど、何だか下手な「写し」を見るようで気持ち悪い。ただし、あちらはきょうだいも一族も仲がよく、こっちは目茶苦茶。どういう下手なパラレルワールドなの。

 Mさんは子供の頃から体が弱く大きな病気もしていたので、猛烈イモは妹たちに「オンニ(姉さん)は体が弱いのだから守ってやれ」とよく言っていたらしい。これは立派だと思う。

 うちの母ときたら、私が小児喘息や重症アトピーだったのを、「うちの家族でこんな病気は他に一人もいない。何でお前だけこうなのか」と言い続け、「お前がこんなんやから、夜中に病院連れて行ったりして、私はほんまに苦労したわ」「アトピーやから皿洗いもさせんかったのに」と、「自分が」大変だったことばかり言い続けた。一番大変だったのは私だったはずだが、私に対してねぎらってくれたことは一度もない。

 しかしね、そもそも私がアレルギー体質なのは高齢出産と帝王切開の影響が強いのではと思うのだけどね。妊娠中の不摂生もあるかもね(酒タバコカフェイン気にせずやってそう。私の上に死産が1人いるし)。それに皿洗いもさせんかったというのは大嘘で、洗わない洗わないと文句ばっかり言うから、洗ってたよ。パックリ割れまくった血だらけの手で、皿洗いしてたよ、ほんとに痛かったけど。痒がってたら「掻くな!掻くからそんななるんや!」と怒られ、「かわいそうやな」「大変やな」なんていう優しい言葉は1度も(本当に1度も)なく、世のアトピーっ子の親がやるような(刺激のない食事など)努力はもちろん一切ない。子供の頃の食事は毎食、イシイのレトルトのハンバーグ。中学高校の6年間、ただの一度も弁当を作ってもらったことがない。全くの専業主婦だったのにね。毎日菓子パンが昼食ってのもアレルギーにはよくなかったと思うね。本当に子育てが面倒臭かったんだよね。

 長い間、親が悪いと思ったことはなかった。毒親持ちの子供はただあきらめてることが多いと思う。あきらめたまま文句を言わず歪んだ人生を生きていくんだけど、年取ってから溢れ出すのよ。ちゃんと文句を言えてきた人は違う。怒るべきことをちゃんと怒ってきた人はそうならないだろうけど。うちの長男なんて父親の葬式の時に父親への恨みが噴き出してたもんね。

 母と猛烈イモが双子みたいというのも例えですまないところがある。よく、離れた場所で育った双子が数十年後に会ったら、職業や結婚相手の特徴などいろんなことが同じだった、という話があるけど、ここ最近に関してはぞれと似たところがある。同じ時期に部屋で転倒して大腿骨骨折、翌年あたりにまた転倒して手の指骨折、何度かの入院時期も同時期。違う場所に引き離された双子が、離れた場所でシンクロしているみたい。認知症になってから連絡とりあわなくなって久しいのに。歳も4歳違うのに。ただ顔や体型見たら、同じ遺伝子を分けあってることはひと目でわかる。やっぱ遺伝子がシンクロしてるのか?気持ち悪い。

 ついでに、私は介護中ストレスのせいか突発性難聴になり、その後も何度も繰り返して後遺症にも悩んでいるのだけど、聞けばフランスの修道院にいるMさんの妹も同じだそうだ。

 目に見えない世界があって、何らかのやりとりがある、通信しあっている、というのは私はあると思う。遺伝子が引っ張っているのか、どっかで波長が合ってしまい、共鳴してシンクロしてしまっているのかわからないが、私は嫌だ。何かが通信しているのなら、ケーブルをブチブチっと切ってしまいたい。