もう一つのデジャヴ

 そういえばもう一つ、気持ちの悪いデジャヴがあった。

 ずっと前に韓国に行った時、今は子持ちであるイモの孫娘T(当時大学生)が、おばあちゃんであるイモのところへ来て、「ハルモニ~」とイモの背中側から抱きつく、という光景を見た。私はその少し前にイモが苦々しそうに私に向かって「お前はTと同じだ」と言っていたのを聞いていたので、何か違和感を持ったのだ。でもまあ、ああ、仲良くしてるんだな、とその場は思っていた。私自身は家族でそういうベタベタした感じは苦手な方だけど。

 それからしばらくあと、母の家で、Gが台所に立っているところへGの娘(当時大学生)がやってきて、「お母さ~ん」とGの後ろから抱きついてるのを見た。その時もやはり、ちょっと違和感を感じながらも、仲いいんだね、と思っただけだったけど、今考えるとあの時のイモと孫娘の姿と、まるっきり同じなのだった。

 そりゃGと猛烈イモは相性がいいのは当然だわな。よく似てるもん。Gは日本生まれで韓国には旅行程度しか行ってないのに、本当に韓国人的な性格をしていると思う。ベタベタしたところも、見栄っ張りなところも、押しが強くて自分中心なところも、キッツイ性格なところも。

 そういえば、私はベタベタしたのが苦手な方だけど、Gはベタベタした感じが大好きな方だ。実は中身は全然愛情深くないのに、ベタベタした愛情表現みたいなものを母に対してもよくやる。「いやぁ、お母ちゃん、髪の毛伸びたなぁ(またベタベタの京都弁で)」と母の髪の毛を撫でる、とか。見ている私は嘘臭くて、気持ち悪くてたまらないが、世間的には「愛情深い姿」なのでやめてとも言えない。もちろん本人もそのつもりで自分の姿に酔っている。

 そう、「嘘臭い」から私は気持ち悪いのだ。Gの14歳下の妹に(間違って)生まれてしまった私には、その嘘臭さが手に取るようにわかる。Gにあるのは「自己愛」だけで、他人を思いやる能力は欠落しているのだから。