生まれた順序による相性

 島田裕巳の宗教以外の本で、「相性が悪い!」という軽い新書がある。長子、末っ子、真ん中、一人っ子など同士の相性の話で、読んだ時はしょうもない駄本、と思って読み飛ばした。しかし、あとになってじわじわと、いろんな人を見るにつけ、「あれホンマやったなあ」と思い出すことが多くなった。

 うちの母は末っ子ではないが10人きょうだいの8番目なので、ほぼ末っ子の性格といっていい。西太后イモは10番目の末っ子。母は頭がよくなくカラッと明るいが(親戚の人が「明るいけどカラカラや」と形容していた)、西太后は頭が切れる。そういうバランスもあってか、2人は双子の末っ子みたいな感じだ。間に男の兄弟がいるが存在が薄く会ったこともなければ話も聞いたこともない。母はもちろん、気性の激しい西太后でさえ、実は「甘える側」なのだ。

 数年前に大邸に行った時、今は病気で療養中の嫁(姑西太后への憎しみで病気になった、とMさんは言っていた)と2人きりで少し話す機会があった。その時は嫁さんが姑の西太后を憎んでいるとは露知らずだったが、今思えば思い当たることがある。私が何も聞いてもいないのに、嫁さんはこう言ってたのだ。

 「オモニ(西太后)は末っ子。だから性格も末っ子らしい。どかっと座って、自分は何もせず、何でも誰かが持ってきてくれると思ってる。お姫様みたいに、誰かがみんな世話してくれて当然と思ってる」

 その時は嫁姑の仲が悪いとは露知らず、結束の固い仲の良い家族、よくできた嫁、とだけ思っていた私は、この言葉にちょっと違和感を感じながらも、特に反応もせず頷いただけだった。あんな気が強いイモが末っ子の性格?と不思議に思ったのもある。今思えばとても納得がいくのだけど。

 「そうですよね!イモほんとわがまま!うちの母もですよ!困るよね、ああいう人!」とでも言えばよかった。そしたらほんの少しでも嫁さんへの慰撫になったかもしれない。でもあの時は、そんな家族や目上の人に否定的なことは、この社会では少しでも言うことは許されないことだと強く思っていた。それが韓国社会のルールだから。抑圧の社会・韓国。

 「相性が悪い!」のでんでいくと、西太后のお気に入りが自己愛性人格障害のGであることも納得がいく。Gは上に兄がいるものの長女だからだ。母の介護を巡って業者に会う時、自分は責任逃ればかりで人から見えるところでだけいい格好するだけの卑劣漢なのに、業者の前ではいつも、まわりに響き渡る大声で「長女です!」と自己紹介する。自分が上、というのを常にアピールする。病院でもデイサービスの人にもケアマネにも老人ホームでも。自分が上でないと気がすまない。しかしひと目につかない地味な仕事、自分の得にならない仕事は、絶対にしないことは徹底している。

 今はよくわかるのだけど、これが「甘える側」の末っ子性格である西太后とは相性がよくて、だから西太后はGがお気に入りだったのだ。そして同じく末っ子性格である私は気に入らない。思えは私と似てると言っていた孫娘のTも末っ子。私は「自分がダメだからだ」と思ってたけれど(まあダメはダメなんだろうけどさ)そもそも最初から西太后とは相性が悪かったのだね。

 ついでに言えば、母もだが。母は昔はGを名前で呼んでいたのに、高齢になっていつの頃からか「姉ちゃん」と呼ぶようになった。この「姉ちゃん」のどことなく甘えた響きが気になってはいた。そういえば母は長男のことも(これは昔からだが)「兄ちゃん」と呼ぶ。頼りにしているのだ。末っ子性格で甘えて当然と思っているから、甘えているのだ。きっと大昔の大邸の山奥でも、上のきょうだいに「兄ちゃん」「姉ちゃん」と甘えていたのが、体の深いところに染み付いているのだろう。高齢になりそれがどんどんむき出しになっている。Gのほうは子供も大人になり、自分が下に見て支配できて世話してる気分になれる者が今は親になり、甘えて甘えさせて、ますます相性はよくなっている、ということか。今はいつでもギャラリーがいるし、親を大事にしてる娘を周りにアピールしまくれるし。

 今まで親のう○こをどれだけ洗っただろう。あの臭いをどれだけかいだか。24時間親の心配ばかりして気の休まる時もなかった。大雪の日も台風の日も体調の悪い日も、這ってでも親の家に通った。ボケた上にお姫様性格の母はもちろん1mgの感謝もしない。介護のしんどさ虚しさは経験した人にしかわからない。その中でGは人目につくところで自分をアピールするだけ。なのに偉そうにするだけでなく、私を目茶苦茶にバカにする発言(のちに「そんなん忘れたわぁ。私が何ゆうたんや。ゆうてみい」と抜かし(自己愛性人格障害なので、自分の都合の悪いことは脳内から消去し、記憶を捏造することができる)、私が言わないでいると「お前も忘れたんやないか(薄笑い)」。何か少しでも言おうものなら、「お前だけやと思ってるんか!!!」と今まで何度言われただろうか。介護するきょうだい間で憎しみが生まれるのはこういうところなのだろう。常に介護している嫁に、1ヶ月に1回しか見に来ない小姑が偉そうにする、とかよく聞く話だしね。