ひきこもりと家族トラウマ/服部雄一 本の感想

 先回に引用したブログの引用元の人の本(変な文章)を読んでみた。全体には「そうかなあ?」と思う部分も多かったけど、日本文化論の部分はよかったです。ただ、小谷野さんのように「どこでも同じ」とは言わなくても、まあ、ここまでアメリカ礼賛されると、アメリカにも問題はいっぱいあるだろうに、とは言いたくなりますが…。

 日本では、いじめはいじめられた方が悪いとされる、と書いてあり、いくら何でもそこまでは、と思い、ちょっとネットを見てみたら、ソッコーで「いじめられた奴が100%悪い」「いじめられた奴があとあと社会不適応になるのはもともとそういう奴がいじめられるから」などと出てきて、まあネットとはいえ、あホントだ!と思いました。傾向として日本人の精神がより荒んできている、というのはあると思う。

 ひきこもりに共通するのは、この本によると、いじめ、対人恐怖、人間不信、親との絆が切れていること、等だそうで、全く他人ごとではなく読んだ。夜回り先生を絶賛するなど、かなり引くところもあるけど、共感するところも多かったです。心理学的な本は実はあまり好きではないのだけど(だって、何だかんだ言って、どうしようもないことが多いから)。

 「日本を外から見ている日本人として感じるのは、日本人の思考パターンの奇妙な癖です。何か問題が起きると「誰かが悪い」という発想で議論するために、いつも犯人探しが始まります。ひきこもり問題でも「甘える本人が悪い」「甘やかす親が悪い」という議論をして、結局スケープゴートを探しています。(略)
 もう一つ奇妙な思考の癖があります。多くの人は気づいていませんが、日本人は当たり障りのないテーマを議論して、本質的な話題を避ける癖があります。見ていると、議論する本人は全く気づいていないようです」

 なるほどなるほど。

 ずっと前、A.A.という人の本の書評を書いて、アンケートの取り方のここがちょっと、みたいなことを書いたら、それから本人から小学生の嫌がらせみたいなメールが次々に来るようになって閉口したことがあった。メールのやり取りでらちがあかないので、「サイト上にメール公開してもいいですか?」とメールを返すと「あなたは著作権という法律も知らないバカらしい。どうしようもないですね。私はあなたを完膚なきまでに叩きのめします云々」みたいな返事が返ってきた。は?著作権?アナタのメールに著作権?大作家じゃあるまいし。嫌なら嫌だと普通に言えばいいのに、著作権など出してきて相手を罵倒しなければならないところにやや病理的なものを感じつつ、まあ嫌なら仕方ないと本人の意思を尊重してメール公開は控えた。その代わりに書評を載せた誌面に両者の意見を載せる形をとったのだった。

 その表面的な部分だけを見ていた(これまた)小谷野さんが、いきなり「あなたが悪い」というメールを私に出してこられたのだった。非常に困惑した。この人はなぜ詳細も知らないのに、どちらかが悪い、と言い切れるのだろう?と不思議だった。詳細がわかっていたとしても(いないとしても)、「いい」「悪い」と判断するようなものではないはずだ。なんでいきなり「あなたが悪い」なのか? その思考方法が理解不能だった。

 今回、それがわかったので何だかすっきりした。「どこでも同じ」といい、これは日本人の思考パターンの癖なのだ。この本によると。

 ところで、A.A.さんとのその後について。それからもこちらを罵倒するばかりの嫌がらせメールがやまないので、それならばということで、直接会って意見交換することを提案することにした。あなたを完膚なきまでに叩きのめします、と何度も言っているのだからちょうどいいだろうと思ったのだ。ネチネチと変なメールを送りつけてくるより、面と向かってはっきり言えばいい。場所も彼が来やすいようにと、彼の日本での在学校内で設定しますと伝えた。ところが返事は、「私は外国在住だ。私と話し合いたいと言うからには、日本までの旅費を出すのだな」というものだった。非常に偉そうだった。

 しかし私は、事前に版元の社長と話をしていて、彼がひと月ほど先に帰国予定なのを知っていたので直接話し合うことを持ちかけたのだった。喜んで話し合いに応じると思っていたのに、違った。嘘をついてまで(厳密には嘘はついていないが、帰国することを隠した)逃げを打つほど、彼は直接顔を合わせるのは嫌だったのだ。メールではあれほど攻撃的だったのに。完膚なきまでに叩きのめす、というのは、メールによる嫌がらせによって、という意味だったのだろうか。

 その後もメールの嫌がらせは止まず、結局は版元社長に頼んで止めるように言ってもらって、やっと止んだ。しかし!!!あとから東京で社長に会った際に聞いたことには、社長は「たまちゃんがまいってるから、やめてあげなよ〜、って言ったんだ」とのことで、もう私は怒り心頭であった。そもそも私のほうが社長から「Aくんをそっとしておいてあげてよ」と頼まれたのだ。それなら電話番号聞いて直接「やめんかい!」と言ったほうが百倍ましだった。

 話がそれちゃった。